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平成28年度技術士第二次試験建設部門トンネル選択科目III-1再現論文

問い:トンネルの防災、減災に関して検討すべき課題、具体的な方策、もたらす効果

(1)

 平成26年の豪雪では、東京都西多摩から山梨県にかけての山間部でトンネル坑口を覆うほどの積雪があった。トンネルの通行ができないだけでなく、生活物資の輸送も困難となった。また、平成28年には島根県の山間部の道路で道上にあった1mほどの大きさの岩が落下し、通行中の車両に乗っていた乗客1人が死亡するという事故があった。さらに、平成24年には中央自動車道笹子トンネルの天井板が崩落するという事故があり、9名が死亡した。

 橋梁や堤防に比べてトンネルは地震や津波、洪水に対して強いが、適切な維持管理を行っていかないと災害が発生する可能性がある。

課題1 トンネル本体工の劣化(重要)

 平成25年時点で竣工後50年を経過した道路トンネルは20%を占め、20年後には50%になる見込みである。経年したトンネルはひび割れ、浮き、剝離、漏水、覆工背面の空洞などの損傷を抱えていることがある。

課題2 トンネル付属物の劣化

 トンネルには照明、換気設備、非常用設備、ラジオ再放送設備などの機械類が備え付けられている。年数のたったトンネルはこれらの設備の一部または全部が機能していない恐れがある。

課題3 坑口部の斜面崩壊、地すべり(重要)

 山間部のトンネルは坑口に斜面を有することが多く、土砂が安定していないあるいは地山が緩い場合、斜面崩壊または地すべりを起こす可能性がある。崩れた場合は通行者が被災する可能性がある。

課題4 坑口部の落石

 坑口の上部に転石や風化した亀裂のある露岩がある場合、落石が発生する恐れがある。落石があると通行の妨げや交通事故の原因となる。

(2)トンネル定期点検

 トンネルを適切に維持管理していくには定期点検を行う必要がある。定期点検は、点検、診断、措置、記録の4つの要素で構成される。

 点検では、近接目視により、ひび割れ、漏水、浮き、剝離などを確認する。必要に応じて打音や触診により点検を行う。

 診断は、健全、予防保全段階、早期措置段階、緊急措置段階の4段階に分かれる。覆工スパンごとで最も悪い評価をそのトンネルの健全性とする。

 措置は、トンネルの機能を中長期的に回復する本対策、短期的に維持する応急対策、変状の挙動を追跡的に把握する監視の3つがある。

 記録では、点検及び診断の結果、措置の内容を記録し、トンネルの供用期間中はこれを保存する。

 点検にあたっては車載型スキャン装置やタブレット型端末を活用し、データのデジタル化、点検精度の向上、手間の軽減を図るとよい。

斜面点検

 日常点検や降雨の後の異常時点検、5年に1回の定期点検を通じて斜面のすべりや湧水の有無、落石の有無を調査する。斜面が崩壊する予兆が確認された時はボーリング調査を行い、すべり面の推定や岩盤の風化具合を確認する。崩壊の可能性が高い場合はトンネルの通行止めも検討する。

 対策工としては、のり枠、ロックボルト、グラウンドアンカー、抑え盛り土、擁壁、小段排水、水抜きボーリングなどがある。落石の可能性がある場合は、落石防止網、落石防護柵、除去工、接着工、洞門工、モルタル吹き付けなどの工法がある。

(3)効果1 トンネルの安全な通行

 点検を通じてトンネルの安全な通行が確保できる。また、点検結果や対策の進捗を公表することで通行者への説明責任を果たすことができる。

効果2 トンネル予防保全型管理の推進

 メンテナンスサイクルを回すことによりアセットマネジメントが可能になる。予防保全型管理を進めることで対策費用の圧縮が期待できる。

留意点

 点検には人手が必要であり、費用がかかる。また、山岳トンネルは僻地に多く、交通量が少ないため、費用対効果が小さいことがある。


 問題文の詳細は以下を参照のこと。

09 建設部門|公益社団法人 日本技術士会
https://www.engineer.or.jp/c_categories/index02022229.html

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  1. 2016/07/18(月) 22:24:08|
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