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榎本ナリコ「時間の歩き方」

 榎本ナリコ「時間の歩き方」が面白い。

 女子中学生の杉田果子はドアを開けることで他の時間へタイムリープすることができる。ただ本人は完全に制御できておらず、意図しない時間にタイムリープしてしまったり、元の時間に戻るにも工夫がいる。

 ある時、好意を抱く日比野先輩が目の前で交通事故に遭い亡くなってしまう。何度もタイムリープを繰り返し、事故に遭わないよう策を弄するが、先輩は落下物など他の原因で亡くなってしまう。偶然会ったタイムトラベラー井村偶太から、人間の生死の変更など、大きなことは変更できないと聞かされる。それでも杉田果子は先輩を救うために努力する、というのが1巻の3話目までの話。

 その際タイムトラベルの禁忌を犯し、元の時代に戻れなくなった果子は、巻き込んでしまった井村偶太を救うべく、2446年の未来にタイムリープを試みる。と話が続いていく。

 題名からして「時をかける少女」みたいだし、能力も同じ、主人公も女子中学生なので、敬意を表して重ねているか、似たような読者を狙っているのだろう。絵も少女マンガらしいタッチで、内容は深刻な割に果子の持ち前の明るさもあって、深刻さはない。同様に親友を救うためにタイムリープを繰り返す「魔法少女まどか☆マギカ」「シュタインズゲート」とは対照的だ。

 4話以降もストーリーは軽快に、しかし複雑に進んでいく。登場人物による説明が多いが、時間が何度も行ったり来たりするので仕方ないだろう。ストーリーが次々と展開していくのは楽しめる。

 こういうタイムリープものは「結果は変えられない」という命題がつくことが多い。シュタインズゲートではアトラクタフィールドの収束という表現をしていた。でもカオス理論に従えば、現象には初期値に対する鋭敏な依存性が働く。週間天気予報の1週間後の信頼度が低いのが好例だ。交通事故による生死も同じだと思う。だからこそ話では、話しかけて引き止めたりして事故に遭わないようにするのだろう。バブルはいつまでも続かない、老衰による死亡は避けられない、くらいなら結果は変えられないが、もともと偶発的な事故は十分に避け得ると思う。

 感想としては無粋だが、同様にタイムリープを繰り返す小林泰三「酔歩する男」は結果もクルクル変わるし、ついには原因を疑うようになるし、タイムリープものとしては秀逸だと思った。

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  1. 2016/06/03(金) 00:10:44|
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