島ノ中ニ有リblog

島の生活とか、登山とか、Macとか、日記とか

浦松佐美太郎「たった一人の山」

 浦松佐美太郎「たった一人の山」を読んだ。

 1929年ウエッターホルン西山稜を初登頂した山行記「山頂へ」が収録されている。表題作はウエッターホルンを登った夏の終わりにグレックシュタインの小屋に1人で行く話である。他にドロミテに登った「ドロミテの山旅」がある。

 藤木九三「雪・岩・アルプス」を読んだ時と同様、私はヨーロッパアルプスに行ったことがないので、ツェルマットとかグリンデルワルトとか言われてもいまいちイメージがわかない。本の中ほどからは「山と氷斧」「山靴」「雪」といった切り口で過去の山行を語っているので、その方が興味がわいた。

 そんな中から2つほど紹介する。

 冬の山登りには、華やかさが微塵もない。だから、これは私一人のことだが、どこか冬の山へ行こうと考えついてから、いよいよ実行に移すまでには、ずいぶんの努力がいる。そして、一切の準備が整って、いざ出発となっても、心は重いのである。しかし、よく考えてみると、程度の差こそあれ、私にとっては、夏の山登りもやはり同じである。…(中略)…山へ行こうと思いつくのは、自分にとっては、この上もなく愉しいことなのだが、さてその愉しさを実現するための、努力をする段になると、だんだんと心が重くなって来る。これは、山登りが一つの難しい仕事だということが、心に深く染み込んでいるせいであろう。

浦松佐美太郎「たった一人の山」(中公文庫,1977)P.153「冬の山々」

 私も山を計画しておきながら準備が面倒だったり、朝起きても行くのが面倒だったりすることがある。ひどい時は登り始めても帰りたいと思っていることがある。昔の1級の登山家は暇さえあれば山に登ってやる、みたいな前向きなイメージがあるので、私と同じようなことを考えているのは意外であった。

 自分の住む町から富士を望み得る機会を持つ人々は、ぜひ一度は登山すべきだと私は思っている。あの頂きの上に、自分も立ったのだと思うだけでも、今までとは全く違った心持で、眺め入るようになるであろう。

浦松佐美太郎「たった一人の山」(中公文庫,1977)P.205「富士山」
150713twilight_02.jpg

家から見えた富士山

 遠くに富士を望むことは家からも、南アルプスや北アルプスなど山からも見たことがある。遠くの富士山を見るとき、「ああ、富士山が見えるなあ」くらいしか思っていなかったのだが、富士山以外にも踏んだことのある峰も多いと考えると、その思い出に浸るのもよいと思う。その感覚はなかった。

関連記事
  1. 2016/03/25(金) 23:25:39|
  2. 書評 - 山岳
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<サッポロ一番から揚げ風しょうゆ味 | ホーム | 紺野比奈子さんが亡くなっていた>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://nakayamayu.blog107.fc2.com/tb.php/3280-61a13e82
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)