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FHWAが接着系アンカーを推奨しない理由

 米国のトンネルのマニュアルTOMIEを読んでいるの関連。

 TOMIEの第3章 MAINTENANCEを読んでいると3.8.2 Ceilings/Hangers and Anchoragesという項があり、気になる表現があった。

 FHWA issued a Technical Advisory in 2008 that strongly discourages the use of adhesive anchors for use with permanent sustained loads in tension or overhead applications.

Tunnel Operations, Maintenance, Inspection, and Evaluation (TOMIE) Manual P.3-23

 訳すと、「FHWAの2008年の技術勧告によると、引っ張りもしくは天井使用目的での接着剤アンカーの恒久的使用をやめるよう強く提言している」といったところだろうか。

 あと施工アンカーの種類には、大きく分けて機械式アンカーとケミカルアンカーの2種類があるが、日本ではケミカルアンカーは割に一般に使われている(例えば「橋梁補修の解説と積算―写真でみる橋梁補修工事の施工手順」)。

 不思議に思ってリンク先をざっと読んでみた。

151129adhensive-anchors.png

↑米国連邦道路管理局による技術提言

 リンク先はUse and Inspection of Adhesive Anchors in Federal-Aid Projectsという米国連邦道路管理局による技術提言で、接着系アンカーの使用に関してFHWAの見解が載っている。

 読んでみると、"Fast Set epoxy"と呼ばれるエポキシ樹脂のアンカーの不使用を呼びかけているようだ。"Fast Set epoxy"とはSika CorporationのSikadur AnchorFix-3という接着剤らしい。

 2006年7月10日にマサチューセッツ州ボストンにあるI-90トンネルで吊り天井が崩落し、ぶつかった通行車が歩行者を死亡させ、運転手もケガを負ったという事故があったそうだ。吊り天井は鉄製の棒でつられており、エポキシ樹脂の接着系アンカーでトンネル本体に留められていたとのこと。

 その先のテストの内容が英語力の足りない私にはいまいちよくわからない。第一原因は"Fast Set epoxy"が張力に耐えられないことだ。さらに、"Fast Set epoxy"だけでなく、ICCの認定を受けたいくつかのアンカー機構も典型的な橋梁やトンネルのさらされた環境ではクリープに対して脆弱である。このため、支えるための張力がかかる部材や天井への接着剤の適用はやめるよう提言している。

 なお、調べてみたら、日本でも同様の対応になっているみたいだ。

 笹子トンネルの事故を受けて、標準編では条文に「原則として、吊り下げる付帯設備には使用してはならない」と記載し、本編ではあと施工アンカーの将来の発展を考慮し、 条文ではなく解説に同様の趣旨をふまえつつ現状では出来る限り適用を避ける必要がある と記載しました。

土木学会 刊行物案内 コンクリートライブラリー141号 コンクリートのあと施工アンカー工法の設計・施工指針(案)

 笹子トンネルの例を考えれば当然の対応だ。あと施工アンカーは補修工法としてよく使われているので、上向きアンカーを行い場合は気をつけようと思う。

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  1. 2015/12/16(水) 00:04:01|
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