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服部文祥「百年前の山を旅する」

 服部文祥「百年前の山を旅する」を読んでいる。

 奥多摩・笹尾根縦走に始まり、奥穂高岳南稜登攀、鯖街道の早駆けなど歴史をひもときながらの興味深い山行を行っているが、私が特に魅かれたのは黒部奥山廻りの失われた道である。

 服部氏は立山博物館で展示されていた企画展で古地図と古文書を見て驚く。そこには小川温泉から鹿島槍ヶ岳に至る奥山廻りの奉行が歩いた経路が描かれていたからである。上奥山廻りは地名が残っていることから実際に行っていたという推測が成り立つ一方、下奥山廻りは資料がほとんど残っていないため、服部氏は半ば伝説ではないかと考えていたそうだ。

 私も黒部奥山廻り、という言葉は知っていたが、どの辺りまで歩いていたのかは全然知らない。何で奥山廻りという言葉を知ったのかも覚えていない。だからどの程度真実なのか想像するも何もよく知らないというのが本音だ。

 服部氏は北俣小屋から鹿島槍までの下奥山廻りの道をたどる。途中には北又谷、柳又谷といった困難なことで有名な谷を横断し、カシナギ峠や猫又峠を越え6日目に鹿島槍ヶ岳に登頂する。カシナギ峠や猫又峠の同定には単に地形図から読み取れる高低差の大小だけでなく、現地で見た弱点や獣道から類推しており、読者もルートファインディングしているような気分になる。

 私もヤブ道を歩くときは必然的に古いガイドブックなどで廃道や地名を調べることがあり、似たような思いだ。タイムスケールが私の場合は30年くらい、服部氏は100年から200年くらいとかなり異なるが、ルートファインディングの面白さは同じだと思う。

 こういうのも探検の一部なのだろう。読んでいてワクワクする。

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  1. 2015/11/12(木) 00:32:22|
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