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横浜のマンション傾きに見る下請け構造の問題

 横浜市都筑区のマンションが傾いている問題で、工期を遅らせられないことが原因の一つとして上がっている。

 横浜市都筑区の大型分譲マンションに傾きが見つかった問題で、深度不足が判明した杭の長さが最大で約2メートル足りなかったことがわかった。

 この杭は継ぎ足しができないものだったため、追加発注する必要があったが、その場合は工期が延びる可能性があったという。国土交通省は、杭打ち工事を行った旭化成建材(東京都千代田区)の現場責任者が工期の延長を気にして工事を終えた可能性もあるとみて、同社などに経緯の説明を求める。

杭の長さ、最大2m足りず…工期延長気にしたか : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 そもそもマンションが傾いているのは杭が支持層に達していないからだそうだ。で、何で支持層に達していないにもかかわらず、完了させてしまったかというと、工期延長ができなかったからのようだ。

 「工期のためなら、土日かまわず突貫工事で仕上げなければいけない」。東京都内の外装業者の40代の男性は建設現場の状況をこう話す。2次下請けとして受注することが多いが、「工期厳守」は最低限守らなければいけないルールだ。

【横浜マンション傾斜】「工期のためなら突貫工事」「都合悪いこと元請けに言えず」…弱い下請け、責任追及へ法整備を(1/2ページ) - 産経ニュース

 土木工事だと2年3年かかることはざらにあるが、建築工事は数ヶ月間基礎工事やっているな、と思っていると、躯体の立ち上げはえらく早いイメージがある。上物は鉄骨まで組んでしまえば、あとは配筋、配管、コンクリート打設、内装など複数階で同時に別工種の作業ができるのかもしれない。

 マンションなど民間の建築工事で工期延長しているのはあまり聞かない。マンションの入居者も完成予定をあてに前居を引き払ってしまうのだろうし、間に合わなければマンション購入者に違約金を払う必要があるのかもしれない。そういう条件下では下請けにしわよせがいくのは構造的な問題であるように見える。

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↑シールドトンネルの立坑。ここはSMWによる施工。

 公共工事の場合、国交省の定める公共工事標準請負契約約款を使うことが多い。その中には第18条に条件変更等という項目があり、四 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合、監督員に確認を請求するよう書かれている。必要がある場合は設計図書を変更し工期を延長する。

 これに当たるかどうかは個々のケースについて、発注者が判断することになるだろうが、私の経験では掘ってみなければ分からないことは変更、工期延長の対象とすることが多い。逆に架空線の支障など、着手前から見えているものは変更、工期延長の対象にしにくい。結果として、公共工事ではよく工期延長を行っているのだと思う。

 契約で決まっている工期を守るのは大前提だが、現場状況がそれを許さない場合、下請けにしわ寄せのいく構造は健全とは言えないと思う。

 ところで杭長さ14mもあるのに、この杭は継ぎ足しができないものだったそうだが、14mの工場製作品を大型特殊車両で搬入したのだろうか。これだけ長いと綱矢板や鋼管杭の吊り継ぎとかSMWみたいな連続壁を発想するが、どんな杭なのだろう。

 続き:打ち継ぎできない既製杭工法と対策案

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  1. 2015/10/23(金) 01:06:08|
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