島ノ中ニ有リblog

島の生活とか、登山とか、Macとか、日記とか

小西政継「グランドジョラス北壁」

 小西政継「グランドジョラス北壁」を読んでいる。

「マッターホルン北壁」と同じ著者である。著者は1967年にマッターホルン北壁冬季第三登を果たした後、冬のアイガー北壁直登ルートを計画する。一方、日本山岳会が第二次エベレスト南西壁偵察を計画しており、知り合いのつてで著者が遠征に招かれたため1969年エベレストへ向かう。しかし、1970年のエベレスト南西壁遠征では南西壁を登れなかった。

 偵察では植村直己と知り合いになり、山学同志会でアイガー北壁を登ったメンバーとともにグランドジョラス北壁を目指すことになる。

 何枚か写真も加えながらの説明であり、文章ではつかみにくい岩の様子をつぶさに知ることができる。凹状岩壁の後のトラバースではあまりに傾斜が急で、これをどうやってトラバースするんだろう、と思う。

 さらに、取り付いて5日目にヨーロッパで二十数年ぶりの大寒波に襲われ、北壁も半分を過ぎた三角雪田にて3日間の停滞を余儀なくされる。停滞とはいえ、吹雪の中フィックスザイルを伸ばし、少しでも先へ進めるように準備しているのがすごい。小西自身がトップを買って出て2日間トップを務めるのは困難であれば困難であるほどそこへ立ち向かっていく姿勢は見習いたくても簡単にはできない心構えである。

 また、植村直己の人柄がわかるように書かれており、小西が3歳年下の植村とくだらない話をしているのが面白い。

 この8ミリカメラでは、少しでもザックの重量を減らすため、持参するかしないかで出発前にいろいろ話しあったことがある。ところが、植村君の「もしうまく撮れれば、テレビ会社に高く売れますよ。そうしたら日本に帰って温泉で酒と女にアップアップしながら、どんちゃん騒ぎしましょうや」の甘い一声で、全員が「お持ちしましょ」と決まってしまったことである。

小西政継「グランドジョラス北壁」(中公文庫,1981)P.108-109

 小西が植村を信頼しているのは、こんな悪口を書いていることからも分かる。

 一見したところ、この男が世界最高峰エベレストの頂上に立ったなんて信じられないような田舎のお兄さん風であり、顔だって悪い方に属する僕と大差ないはずなのに、これで女の子には大変に人気がある。

小西政継「グランドジョラス北壁」(中公文庫,1981)P.121

 あとがきも植村直己なのでお互い信頼関係があるのだろう。植村直己の著書はだいたい読んだつもりだがグランドジョラス北壁のことは覚えていなかった。次は植村直己に関する本でも読もうか。

関連記事
  1. 2015/07/11(土) 04:52:14|
  2. 書評 - 山岳
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<宮城県石巻市に行ってきた | ホーム | ベーシックインカムという制度>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://nakayamayu.blog107.fc2.com/tb.php/3034-5c719192
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)