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大学を職業訓練校にすべきという議論と土木業界の実態

 大学を職業訓練校にすべきという記事を見た。

旧帝大と慶応以外は「職業訓練校化」すべき? 文科省の「有識者資料」に議論白熱

文部科学省で10月7日に開催された有識者会議に提出された資料がネットに公開され、議論を呼んでいる。資料では、ごく一部の「トップ大学」以外はすべて「職業訓練校化」すべきという提案がなされていたのだ。

旧帝大と慶応以外は「職業訓練校化」すべき? 文科省の「有識者資料」に議論白熱 | ニコニコニュース

 具体的な大学名まで上がっていてだいぶ生々しいが、同意できるところはある。

 私の専門である土木工学で言えば大学で学ぶ分野はだいたい以下の5つに分かれる。私は水工学を専門にしていた。

 一方、土木系の学生が就職する建設会社、コンサル、公務員、インフラ系企業では以下のサイクルで土木構造物を作る。

  1. 計画
  2. 設計
  3. 工事
  4. 維持管理

 道路、堤防、下水道など構造物によらずだいたい同じだと思う。

 私が就職して分かったのは、大学で学んだことが必ずしも実務で使わないということである。例えば流体力学の基礎方程式であるNavier-Stokes方程式はまず使わない。水工学の分野で実務で使ったのはマニング則、降雨の合理式くらいである。

 一方、実務では工事の発注・受注に必要な、工事の積算体系、労務単価・機械器具損料・材料費で構成される歩掛、直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費の概念、安全管理・工程管理・品質管理が重要である。土木系公務員の中でも企画・計画が中心の官房系の部署であればこれらを知らなくても業務が可能かもしれないが、公務員の大半も建設会社もコンサルもインフラ系の企業もこれらの概念は必要だし、当然知っているという前提でお互い話をする。しかし、これらは私は大学では学ばなかった。

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↑むかし作ろうとしたマンホールの配筋図。お金が折り合わず別の形になった。

 積算については極端な例だが、大学の勉強とつながる分野として土留めの仮設計算、土質柱状図の見方、下水管の流量表、コンクリートの配合計算、コンクリート構造物の配筋図の見方、舗装構造といった項目が重要である。これらは構造力学や鉄筋コンクリートの曲げ計算など大学で学んだことが基礎となっている。さらに大学での勉強を実務へと円滑に活かしていくには、「道路土工-仮設構造物工指針」や「コンクリート標準示方書」、「建設工事公衆災害防止対策要綱土木工事編」等も学ぶ必要がある。実務経験ができてくれば技術士(建設部門)、RCCM、土木施工管理技士、測量士、コンクリート診断士といった資格もある。このへんのキャリアステップは大学ではあんまり教わらなかったように思う。もっとも私自身興味がなかったのかもしれない。(141101この段落修正。論理展開が変だったので)

 大学が研究を第一とする機関であれば、研究者になりたい人が進学すべきだと思う。一般的な企業に就職したい人はより就職向けの専門の学校に進むか、高卒程度で就職するのがよいとも思う。ドイツでは高卒程度で就職するか研究者になるか選べると知り合いのドイツ人は言っていたし実現できないことはないだろう。労働人口が減っていく日本において、より若いうちに就職させるというのは競争力の低下に歯止めをかけるかもしれない。

 私自身修士課程まで出ておいてこういうことを書くのは大学の先生方に失礼かもしれない。ただ自らの探究心を満たすには十分な指導を受けたし、論理的な思考は大学で培った。大学での勉強を受けていなければより短絡的な思考で物事の解決を図ろうとするだろう。そういう意味では私は大学に進学してよかったと思う。(141109この段落追加。大学教育が有用な一面 が不足していたので)

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  1. 2014/10/31(金) 00:26:33|
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