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中国を舞台にした珍しいファンタジーマンガ、熊倉隆敏「ネクログ」最終巻4巻

 熊倉隆敏「ネクログ」最終巻4巻を読んだ。

 この姐姐(ねえちゃん)、キョンシー!『もっけ』の熊倉隆敏、新作はチャイナ服で仙術ファンタジー!

 中華な近代都市で屍術と仙術が渦を巻く!物書きの青年・宋(ソン)は、僵屍(チイアンシー;キョンシー)と化した幼馴染み薛姐(シュエねえちゃん)を蘇らせるべく、道士の胡(フー)に弟子入りすることに――。本格派にしてちょっとセクシーな東洋ファンタジー、堂々開幕!!

ネクログ(1) 熊倉隆敏 講談社BOOK倶楽部

 胡才良が天軍に逆らう天狗だったり、太上老君が手だけ現れたりと西遊記の前半を読んでいるようなスケールの大きさであった。妖怪とか幽霊とか妖精とか精霊とかファンタジーなマンガや映画は日本と西洋に多いが、不思議と中国に少ない。ぱっと思い浮かぶのはキョンシーくらいか。林羅山や中島敦など江戸時代の学者や明治時代の文豪が漢詩に深い造詣があったのに対し、現代では中国古典がやや置いてけぼりな感がある。史記、三国志や水滸伝など古典を読む人がいても新たな物語をつづる人はあまり見ない。私自身上の3つで読んだことがあるのは史記だけである。

 主人公・宋玉生は目的を達するものの、肝心の姐姐の都合がつかず別れ別れになる。死人を生きかえらせる物語はイザナギとイザナミやオルフェウスとエウリュディケみたいに結局失敗してしまうことが多い。日本でもお盆にご先祖様が還ってきても盆が過ぎれば帰ってしまう。現実には落語みたいに「じゃあ死ぬのやーめた」なんて棺桶から出てきてしまうわけではない。あの世とこの世は峻別すべきものであり、反魂はやってはいけないタブーであるという考えなのだと思う。その点で、この物語の反魂は成功を収め、しかしお互いの了解のもと、死者が還っていくという読者にとってもホッとするストーリーであった。

 よく、亡くなった人の遺族に「ご冥福をお祈りします」と言う。亡くなった人は冥土で新たな生活を送り、そこで幸せでありますように、という意味なのだろうと納得した。

 前作「もっけ」は読み返してみても御崎さんの何が障ったのかよくわからないし、どうして払われたのかもよく分からない。野槌がおばあさんのものだったのだが、実は御崎さん自身のものだったりとか分からない島ノ中ニ有リblog もっけ9巻を読み終えた。その点、今作はもやもや部分もなく、キレイに終わってよかったと思う。

 それにしてもこの作者は日本・中国問わず本当によく民俗学に詳しいなと思う。


ネクログ(4) <完> (アフタヌーンKC)ネクログ(4) <完> (アフタヌーンKC)
(2012/12/21)
熊倉 隆敏

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