島ノ中ニ有リblog

島の生活とか、登山とか、Macとか、日記とか

日と月の蝕交問題

 マンガ「天地明察」第2巻を読んだ。

 関孝和に出題したものの、「無術」と回答されてしまった日と月の蝕交問題を解いてみた。主人公渋川春海の意図が題意に反映されていなかったのが問題なので、これを補うことで解答できる。

…今 図の如く 日月の円と方が 互いに蝕交している。

方面(正方形の辺)は七分ノ三十寸であり その内に月円を容れる(内接させる)

日月の円の蝕交している幅の長さを問う。

原作冲方丁、漫画槇えびし「天地明察」第2巻P.92
shokkou1.png

 このままだと大円の半径が不定になってしまうので、安藤殿の指摘するように径半となり得るその方の角が日円の中心に在ると断定出来る(P.137)という条件をつける。つまり、小円の中心、正方形と大円の交点2点を頂点とする正方形の4つ目の頂点が大円の中心に一致する場合について解く。

 大円の半径を\(r\)とおく。このとき、正方形の一辺の長さはピタゴラスの定理より\(\sqrt{2} r\)であり、大円と小円の中心間の距離も\(\sqrt{2} r\)である。正方形に内接する小円の半径は\(\displaystyle \frac{\sqrt{2}}{2} r\)である。

shokkou2.png

 求める蝕交の幅は(大円の半径)+(小円の半径)ー(大円小円の中心間距離)なので、

\begin{align} (蝕交幅)&= r + \frac{\sqrt{2}}{2} r - \sqrt{2} r \\ &= \left( 1- \frac{\sqrt{2}}{2} \right) \cdot r \\ &= \frac{2-\sqrt{2}}{2} \cdot r \end{align}

となる。

 正方形の1辺の長さは題意より\(\displaystyle \frac{30}{7}\)なので、大円の半径\(r\)は以下の通りになる。

\begin{align} \sqrt{2} r &= \frac{30}{7} \\ r &= \frac{30}{7\sqrt{2}} \end{align}

 したがって

\begin{align} (蝕交幅)&= \frac{2-\sqrt{2}}{2} \cdot r \\ &= \frac{2-\sqrt{2}}{2} \cdot \frac{30}{7\sqrt{2}} \\ &= \frac{\sqrt{2} -1}{2} \cdot \frac{30}{7} \\ \end{align}

 今勾股弦釣九寸股壱弍寸在 内ニ如図等円双ツ入ル 円径ヲ問の答えとなった\(\displaystyle \frac{30}{7}\)を使っているが、答えにまでその値が残っていて美しくない。図面を見た感じは難しそうかなと思ったがそんなに難しくもなく、条件不足による無術に眼をつぶっても、日蝕月蝕の計算までやってのける渋川春海渾身の作にしては正直しょぼい。ストーリー上、たぶんこのあとでもっと本気の問いを作るのだろう。

 この図はLibreOfficeで作成してみたが、MathJaxで生成した数式をスクリーンショットで撮ってLibreOfficeに挿入するとグレーの破線で囲われてしまう。線のプロパティを見ても線なしを設定しているはずなのだが。


天地明察(2) (アフタヌーンKC)天地明察(2) (アフタヌーンKC)
(2012/03/23)
槇 えびし

商品詳細を見る
関連記事
  1. 2013/08/24(土) 12:46:48|
  2. 科学全般
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<伊豆岬から見たどんよりした西の空 | ホーム | アニメ「銀の匙」1期>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://nakayamayu.blog107.fc2.com/tb.php/2311-976914d7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)