島ノ中ニ有リblog

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「海暗」の家系図

 最近、竹芝行きの船の中で、有吉佐和子「海暗」を読んでいる。

 御蔵島を舞台にした小説であり、昭和38年の米軍射爆場内定を受けて島が大騒ぎになる。その中で御蔵島から出たことのないオオヨン婆が古いけれども芯の通った考えで、補償金に揺れる島民を諭す。人から借りたのだが、この本、絶版らしい。

 オオヨン婆は御蔵島が一番住みよい場所だと信じていて、東京の都会っぷりを知っている人とのやり取りが面白い。例えばひ孫の時子を嫁に呼びに行く、孫のお民に島の特産品を渡そうとするシーン。

「お民、これ持ってけや。時子と喰え。」

「なんだ、こりゃあ」

「シオガラにアシタバに、里芋だ。カツオドリの塩漬けも二羽分入れてあるぞ」

 お民は笑い出した。

「そんなもん、持って行ったら笑われるぞ、オオヨン婆。俺は、いらねえ。時子も喰うもんか」

「なして」

「俺はこれから東京へ行くだぞ、オオヨン婆。東京にはなんぼでも旨え喰いもんがあるのに、なして里芋まで持って行かねばなんねえだ。戦争中とは違うだぞ。戦争は十八年も前に終わってよ、東京にはく喰いもんが山とあるだんきゃ」

「しゃらくせえことを云うな。東京にアシタバがあるか、カツオドリがあるか。御蔵の里芋はお前、日本一旨えというだぞ。これをシオガラで煮て時子に喰わしてやれ」

「時子は東京の有名なホテルにいるだぞ。口が奢っているだから、シオガラなんぞを旨えと思うものか」

有吉佐和子「海暗」(新潮文庫,1987)P.58

 実直なオオヨン婆のようすが微笑ましい。射爆場、とは穏やかでない深刻な悩みなのだが、オオヨン婆の話しを聞いていると単純明快、不思議と納得する。そのカタルシスもよい。

 ところで、この小説、オオヨン婆の親類がたくさん出てきて誰がどういう関係だか分からないので家系図をつくってみた。

umikura-family-tree.png

↑有吉佐和子「海暗」の家系図

 長男、次男などの順番はあやしいが、だいたい合っていると思う。


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(1972/10)
有吉 佐和子

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